東洋製罐グループ鹿島アントラーズつくばアカデミーセンターへの新感覚エコステーション「E-DOME」の設置~PETボトルキャップ回収機「キャプテンBOX」の実証実験~に参画しました。
当社が所属する東洋製罐グループは、株式会社鹿島アントラーズ・エフ・シー(以下、鹿島アントラーズ)の下部組織が活動するつくばアカデミーセンター(アカデミー専用サッカーグランド)にエコステーション(資源回収ステーション)「E-DOME」を設置しました。「E-DOME」内には、仕掛けの一つとして、大人から子供まで楽しくペットボトルのキャップ回収ができる専用回収機「キャプテンBOX」を設置し、資源循環の実証実験を行います。当社もクロージャーメーカーとしてこの取り組みへ参画しております。
(左)キャプテンBOXを楽しむアカデミー生 (右)組み立て中の「E-DOME」
分別を「しなきゃ」から「したい」へ
包装容器は暮らしのインフラとして、必要な人や地域に食べ物、飲み物、生活用品を届け、保存性を高めて食品ロスや飢餓をなくすなど、社会課題の解決に大きく寄与しています。
一方で、近年では環境問題としての容器の在り方が問われています。容器を使い捨てるのではなく、循環し、再生できる仕組みをつくっていかなければなりません。しかしながら、容器を循環再生させるにはしっかりと分別・回収することが重要で、なかなか簡単ではありません。缶・びん・PETボトル・ダンボールといった見た目でわかりやすい容器はリサイクル率も高いですが、プラスチックの包装容器は素材の判別も難しく、分別と回収を進めていくにはハードルがあります。自治体においても、プラスチック資源循環促進法が施行される中、どのように生活者の方に分別を促すか検討されております。そこで東洋製罐グループでは、分別を「しなきゃいけない」ことから、「したい」ことに変える仕掛けを、「仕掛学」の第一人者である大阪大学の松村真宏教授と一緒に開発しました。
仕掛け①:入りたくなるエコステーション
一般的なエコステーションは、ごみ箱が並んでいるイメージですが、「E-DOME」は釘やネジなどを使わず作れ、リサイクル可能な段ボール製テントDAN DAN DOMEを利用し、ついつい入りたくなる仕掛けとなっております。また、広い内装ではリサイクルだけではなく、コミュニケーションの場としても利用可能です。「E-DOME」は、Ecoなドームという意味と、鹿島アントラーズの2022年のチームスローガンである「Football Dream-いどむ-」にちなんで命名しました。
仕掛け②:分別したくなるPETボトルキャップ回収機「キャプテンBOX」
E-DOMEの中には、PETボトルのキャップを回収する「キャプテンBOX」を設置。上部からキャップを入れ、レバーではじきながらゴールを目指すゲームが楽しめる仕掛けになっています。回収したキャップは東洋製罐グループと当社にて、キャップの循環再生にむけた研究開発に利用します。「キャプテンBOX」はキャップで点(テン)を決める回収箱(BOX)という意味で、サッカーにおけるキャプテンのように責任感とリーダーシップを持って、ゲームを楽しく進めて回収・分別を行って欲しいという想いを込めています。
大阪大学大学院経済学研究科 松村真宏教授からのコメント
「それまで価値がないと思っていたモノでも、ちょっと見方が変わるだけで価値は生まれます。僕が小学生のときは給食の牛乳瓶のキャップはメンコ(当時は「べったん」と呼んでました)をするための貴重なアイテムであり、皆で競うように収集してました。それと同じようなことを起こそうとしているのが「キャプテンBOX」です。キャプテンBOXを前にすると、PETボトルのキャップは途端に貴重なアイテムに変わります。そうなると、もはやキャップを分別しないといけないという発想はなくなり、キャップで遊びたいという楽しみにだけになります。本人は遊びに夢中になっているだけなのですが、それが結果的にキャップの分別回収につながっているという点が、非常に仕掛けらしい試みですね。」
大阪大学大学院経済学研究科 松村真宏教授プロフィール
1975年大阪生まれ。大阪大学基礎工学部卒業。東京大学 大学院工学系研究科博士課程修了。博士(工学)。2004年 より大阪大学大学院経済学研究科講師を務め、同大学院准 教授を経て2017年7月より現職に。2004年にイリノイ大学 アーバナ・シャンペーン校客員研究員、2012~2013年にス タンフォード大学客員研究員も務める。著書に『仕掛学 人 を動かすアイデアのつくり方』 『人を動かす「仕掛け」 あなたはもうシカケにかかっている』など。
仕掛学について
人の行動を変える「仕掛け」を対象にした新しい学問分野です。「仕掛け」は行動変化を強制するのではなく、魅力的な行動の選択肢を増やすことで目的の行動に誘うアプローチをとります。例えば、ゴミ箱をただ設置するだけでなく、ゴミ箱の上にバスケットゴールを付けることで、ゴミでシュートしたくなり、結果的にゴミ捨て行動が促進されます。松村教授は、さまざまな現場を対象にして実際に仕掛けを考案して製作し、実際の現場で実験し、効果の検証に取り組むことを通して、行動変容の理論と方法の構築に取り組んでいます。研究成果は主に仕掛学研究会で発表しています。
東洋製罐グループのオープンイノベーションプロジェクト「OPEN UP! PROJECT」
東洋製罐グループは、2019年、創業以来100年にわたり培ってきた容器の技術やノウハウを活用し、一人ひとりが抱える社会課題を解決し、持続可能な未来の暮らしを創るオープンイノベーションプロジェクト「OPEN UP! PROJECT」を開始いたしました。今後も鹿島アントラーズ、サポーターの皆様、地域の皆様、他のパートナー企業の皆様と一緒に、包装容器の循環社会「Package to Package」の実現に向け、さまざまな取り組みや実証実験を重ねていきます。