Research & Development 研究・開発
29スクリューヒンジバルブ
近年、調味料業界では、キャップの役割としての必須事項である密封性確保に加え、注ぎやすさ、液切れの良さなどの使用感向上が求められています。そのため、注ぎ口にシリコン製バルブを採用する例が増えてきていますが、シリコン材が高価であることやシリコンバルブを固定する別パーツが必要であること、組み込む装置が別途必要になることによりキャップの単価が高くなることが課題となっています。そこで、バルブの材料をシリコンからエラストマーに変更し、2色成形技術を採用することにより、バルブとキャップの一体成形を可能としました。これにより、安定的な性能を確保しながら、生産コストを大幅に低減した新しいバルブキャップの実用化を実現しました。
吐出性と液切れ性の両立を実現
バルブキャップは、バルブの肉厚が薄いと吐出時のバルブ変形が容易になるため、吐出力は小さく済み、吐出性が良くなります。一方でバルブの肉厚が厚い場合は、素早く液を遮断できるため、吐出後の液切れが良くります。この相反する性能を両立させるため、バルブの付け根部分を薄くし、液を切る中心部のみを厚くすることで、吐出性と液切れ性の両立を達成しました。
プロジェクトを振り返って
製品開発部
島田 知
今回開発した技術は、クロージャーにバルブを付加する技術として汎用性が高いため、あらゆる製品への展開が期待できるものと考えています。今後は、本技術を他の新規開発にも応用展開していきたいと考えております。
製品開発部
脇島 淳
入社して初めて関わった大型開発案件でした。これまでの仕事の進め方との違いに、はじめは戸惑いましたが、アイデアを出し合うことで、今までにない製品ができたのはとても嬉しく思いました。
生産推進部
林 敬太郎
製品に十字スリット加工をする生産装置の立ち上げでは、「『切る』とはなにか」を考え続けた毎日でした。最後はまさかあんな方法でうまくいくなんて・・・!
金型技術部
高山 裕史
社内で初めて、2色成形コアバック構造の金型設計と製作をすることができました。今回の経験をもとに、これからも製品の付加価値向上や生産性向上を目的とした、新たな金型構造に挑戦したいと考えています。