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28スクリューAN

Project vol.7 『注ぎやすさ』にこだわった中栓付きキャップ 製品開発部 佐原 亨

ガラスびん用のスクリューキャップは、びん口加工精度の兼ね合いから、パッキンなどの柔らかいシール材を、びん口に圧着させて密封する機構が一般的です。毎日適量を飲用する薬用酒などにとって、その繰り返し使用の中でびん口が汚れ、内容液に含まれる糖質成分が固まってしまうことで(シュガーセメント)、開栓しづらいなどの課題がありました。そこで液切れ性に優れた中栓付きキャップを採用し、加えて計量時の液量調整のしやすさや、分別廃棄時の中栓の取り外しやすさにもこだわり開発しました。
また、本製品はお客様充填ラインの煩雑さを防ぐため、キャップを巻き締めるだけで中栓ごとびん口にセットされ、使用時には開栓に伴いキャップと中栓の係合が外れることで、中栓のみがびん口に残る仕様としました。

▲ 開発当初形状の断面図と中栓保持機構拡大図

既存の概念を断ち切り、生まれた新技術

注ぎやすさ

内容液の液種に合わせた最適な注ぎ口の形状選定にくわえ、少量吐出時に脈動しづらく、液量調整しやすい穴形状を採用しました。キャップの金型を製作する前に、3Dプリンタを使った造形品にて、お客様と試行錯誤しながら形状を選定していきました。

分別しやすさ

年配の方や、女性など力の弱い方でも簡単に分別できるよう、中栓の材料選定や嵌合部の形状を工夫しました。
※嵌合:軸と軸受けのように、機械のいろいろな部分がはまり合う関係。また、その具合。

中栓の保持機構

開発当初は、当社で保有していた「中栓外周部の羽根に、キャップ内面のリング状突起で引っ掛けて係止する」という中栓保持機構をベースに開発を推進しておりました。しかし、繰り返し使用の中で、中栓の羽根がキャップのリング状突起で何度も擦られることによりダストが発生し、またその擦られる際の音鳴りで、生活者が「キャップが閉まった」と勘違いしてしまう恐れがありました。
音鳴りの解消に関しては、お客様の強いこだわりを感じ、既存の概念を断ち切ることで、新たな中栓保持および音鳴り防止機構を開発でき、ご採用いただくことができました。

▲ 最終形状の断面図と中栓保持機構拡大図

プロジェクトを振り返って

製品開発部
佐原 亨
お客様の創立100周年にあわせた基幹商品のリニューアルのお話しで、はじめはプレッシャーを感じましたが、時間がない中での発想の転換で、何とか製品化できたことはとてもいい経験になりました。本開発や立ち上げに携わっていただいた多くの方々に感謝いたします。
製品開発部
冨高 祐司
問題を克服する中栓係止機構を、競合メーカーとの最終コンペ直前に開発できました。その日は金型メーカーと何度も修正を繰り返しながら、あきらめず形状を創り上げていき、採用を勝ち取った記憶は今でも鮮明に覚えています。あきらめなければ、苦労は身を結ぶことを改めて感じることができたプロジェクトでした。
岡山工場 品質管理課(当時:製品開発部)
松田 知英
立ち上げ時、何度もお客様にてテストを行いました。打ち合わせを繰り返し、課題解決する中で得られた知識や経験、関係性はその後の仕事において大きな財産となりました。
営業推進部(当時:東部営業三部)
西川 誠一郎
競合メーカーとのコンペで開発品プレゼンの納期も決まっており、価格と製品機能提案の案件でした。当社採用の決め手については、「他社より価格は高いが、キャップの機能を評価しました」とのお話がありました。
開発関係者には大変感謝しております。

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